山とか

夏は自転車、山登り 冬はスキーをやっています

バックカントリーに行って来た話

初めてバックカントリーに挑戦したのは4年前。

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ちなみにこの時スキー歴10回ぐらい。

シュテムターンぽいことを何となくやっていた記憶があります。

曲がれるし、止まれるようになったから行ってみっか・・・で挑戦し、

登頂は出来たものの、全く滑れずに情けない思いをしました。

あれから4年。

雪が降ればゲレンデに通い、雪が降らないときはイメトレをし、あれやこれやと要るのかどうかも分からないものを買い込み、

雪山で野兎のように躍動する日をいつか夢見てまいりました。

そして、先日の富良野トマム旅行でなんだか自信のようなものがついてしまい

youtu.be

こんな気分で人生2度目のバックカントリーに挑戦するのでした。

挑戦したのは岐阜県福井県の県境にある野伏ヶ岳。

ja.wikipedia.org

雪があって、家から比較的近くて、地形が複雑ではなくて、滑リ降りるルートの選択肢が多い、というのがその理由でした。

滑るルートが多ければ、それは安心に繋がる気がするんです。

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ちなみにこんな感じで、赤線で登頂をめざし黒線のどれかで降りてくる予定です。

尾根の上のほうはかなり難しそうなので、登頂が無理なら途中で諦めて南斜面から下山、登頂できれば北東尾根を。

個人的には、”ルンゼ滑降”という言葉の響きがたまらないので、せめて上からその景色だけでも味わうつもりでした(真ん中線)。

というわけで、道の駅で車中泊をし、朝5時にスタート地点の白山中居神社に向かいます。

気温は-8°。天気は悪く無さそうで、風もほとんどありません。

慣れない準備作業をもたもと完了し、さぁいざ行かん。

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ヘッデンの明かりを頼りに林道を進みます。

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ずいぶん端っこを歩くシャイボーイがいる、と思ったらどうも熊の手のような気がします。

帰りは林道のここをこんな感じでショートカットして滑って降りよう、なんて考えるとわくわくします。

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標高800メートルぐらいかな?の林道途中。日が昇り始めました。

雪のサラサラ感わかりますでしょうか?握っても固まらない、いわゆるパウダースノーです。山行数日前に降雪があり、気温の低い日が続いたおかげで雪の状態はかなり良いようです。

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長い林道を抜け、和田山牧場跡に到着。

もう・・・、ね・・・、クタクタです・・・、ごめんねHOJI・・・。

山を見ながら大休止。甘いコーヒーとチョコレートを頬張り、特性仙豆を飲みます。

BCAA、マルトデキストリンクレアチン、アルギニン、シトルリンをミックスした特性ジュースです。

自転車に乗っていても、登山をしてもこれを飲めば早い段階でエネルギーが回復するような気がするので重宝しています。

これがカロリーメイトなどの固形物だと、効いてくるのが2時間ぐらい掛かる気がします。

ゆっくり休んだ後、スノーシューらしきトレースを辿ります。

小高い丘を巻いて尾根に取り付き、トラバースしつつ尾根の上を目指します。

ところがこれがもうめちゃくちゃ大変。

もっとぐるっと回って尾根の低いところからアプローチすればいいものを、横着して急斜面を行こうとするもんだから、板が滑ってずり落ちたり、かなり体力を消耗しました。

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尾根の上に出た時は、もう足が動きません。

ここでも仙豆、温かいコーヒーとチョコレートを頬張り、ダウンジャケットの上にハードシェルを着込み体力が回復するのを待ちますが、全く気が沸き起こってきません。

風邪が悪化したのか、ひどく咳き込むこともしばしば。

おまけに、おそらくは脚の付け根の筋肉不足から来ているのでしょう、股関節が痛くて痛くて足を上げることも前に出すこともままなりません。

ここより上は急斜面帯に入り、かなり無理をして、もし高度を上げれたとしても、登ることも降りることもできない羽目になるでしょう。

もし、動けなくなって救助要請するにも、携帯の電波もアンテナが一本立つかどうかという状態です。

水は1.5リットルを既に消費し、もうありません。お湯が水筒に半分ぐらい残っているだけです。ストーブはOD缶にCB缶のガスを入れていたものを間違って持ってきてしまったおかげで、役に立たないことが分かっていたので持ってきていません。

IHの自宅で、ブリッカやマキネッタでコーヒーを飲んだり、0.5合ぐらいだけご飯が食べたいときに、メスチンでお米を炊くのにCB缶ガスを補充しながら使っていたのが裏目に出てしまいました。

動けなくなってビバークなんてとても無理です。

というわけで、引き返します。

疲れ切って、10度ぐらいのゆるーい斜面すら滑れません。

もう止まることも曲がることもできません。

歩いて帰ろうにも、シートラーゲンでツボ足で歩ける荷物の重さ、雪の深さではとてもとてもありません。

とにかく八の字で、斜面が緩く、障害物のないところをゆっくりとずり落ちるように降りていきます。

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これが実際の情けないGPSログ

早く楽に帰りたい一心で、湿地帯をショートカットしようと降りてみましたが、地面がパックリ割れて水が轟々と流れているところがいくつもあり、危ない所でした。

あぁ、人が死ぬ直前ってこういう心境なんだろうな、なんて思いがふと横切ったり。

最後の林道は、スキーにシールを貼ったまま、休み休み降りてきました。

林道をショートカットしている、他のスキーヤーの方の痕跡を見ると、相当うまい方がおられるみたいで、羨ましい限りです。

というわけで、野兎どころか倒木程度の存在でしかなく、時は全然来ていないことが分かったので、来年に向けてちゃんと体鍛えたいと思います。

ちなみに今回の山行では、ハンディGPS国土地理院地図+コンパス持参でしたが、アナログな地図が本当に凄く助かりました。

GPSで自分の位置を正確に把握して、地図でこれから行く地形を予想して判断する。

GPSではどうしてもピンポイント的な見方になってしまうものが、地図があるお蔭でずいぶん俯瞰して見ることができました。

今後、よく知っている山でも地図持参で、地図を読むことも勉強しようと思います。

また、地図は購入せずにこちらを利用させていただきました。www.mapli.net

 

ダウンロードしたものをコンビニでA3にプリントアウトして利用しています。

大変助かっています。